家庭でできる食中毒予防!アニサキス症予防の3つのポイント【第6回】
こんにちは。厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 リスクコミュニケーション係です。
三寒四温の季節となりました。今の季節は、旬のお魚を楽しみたい!という方も多いのではないでしょうか。
前回はノロウイルスについてお届けしました。
今回は、魚介類に寄生したアニサキスによる食中毒の予防についてです!
アニサキスって何?
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類の主に内臓表面に寄生しています。アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。
このアニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生または冷凍や加熱が不十分な状態で食べることで、 アニサキス幼虫が人間の胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
急性胃アニサキス症や急性腸アニサキス症にならない場合でも、じんましんやアナフィラキシーなどのアレルギー症状を起こす場合があります。
アニサキスによる食中毒は1年中発生しています!
アニサキスによる食中毒は刺身や寿司など生鮮魚介類の生食を嗜好する食習慣と強く関連することから、多数の症例が国内で発生しています。
令和4年のアニサキスによる食中毒の発生状況(患者数)は年間578名でした。(令和5年速報:441名)
また、月別のグラフを見ると、季節を問わず発生していることがわかります。
アニサキスによる食中毒になったときは
アニサキス幼虫に対する効果的な治療薬はありません。
治療法に関しては、胃アニサキス症では胃内視鏡検査時に胃粘膜に穿入しているアニサキス幼虫を摘出します。腸アニサキス症では対症療法を行い、場合によっては外科的処置が施されます。
アニサキスアレルギーに対しては、アレルギーに関する対症療法を行いますが、アナフィラキシーの場合、緊急に医療処置を行う必要があります。
アニサキスによる食中毒の多くが急性胃アニサキス症です。
激しい腹痛などアニサキスによる食中毒が疑われる際は、速やかに医療機関を受診してください。
アニサキスによる食中毒を予防しましょう
激しい腹痛などをもたらすアニサキスによる食中毒の予防のポイントは、①鮮度、②目視、③冷凍/加熱の3つです。
① まずは、鮮度を徹底!
魚を購入する際は、新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除きましょう。
アニサキス幼虫は、魚介類の主に内臓表面に寄生していますが、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。
生食用に丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。また、生食用の表示がない魚介類や内臓は生で食べないでください。
② 次に、目視で確認!
目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
アニサキス幼虫は、こんなふうに魚に寄生しています!
もし魚に白い糸のようなものがついているのを見つけたら、取り除いてください。
また、魚が生きているときから既に筋肉内にアニサキス幼虫が寄生している場合もあるため、注意が必要です。
③ 最後に、冷凍/加熱!
アニサキス幼虫を死滅させるには、冷凍(-20℃で24時間以上)または加熱(70℃以上(瞬時)もしくは60℃の場合は1分)が有効です。
なお、一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません!
予防の3つのポイント、鮮度、目視、冷凍/加熱を心がけ、アニサキスによる食中毒を予防しましょう!
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注釈・出典等
アニサキスによる食中毒を予防しましょう(厚生労働省ウェブサイト)