現役「労働基準監督官」が語る!監督官のやりがいと魅力
労働基準監督官とは
こんにちは。労働基準局監督課の米村と申します。
突然ですが、皆さんは労働基準監督官という職業を知っていますか?
どのようなことをする職業なのかイメージを持っていただけるよう、皆さんの身近な例に基づいてご紹介したいと思います。
例えば、給料日に勤めている会社からお給料が支払われなくなったとします。生活の基盤であるお給料が支払われないと、皆さんやご家族の生活が立ち行かなくなってしまいます。
そういった時、労働基準法などの法律に基づいて調査を行い、お給料が払われるよう会社を指導することで労働者の労働条件の確保と向上を行っているのが労働基準監督官です。
監督官は、厚生労働省の専門職種で、全国に321ある労働基準監督署を拠点として、働く方の労働条件の確保向上のため日々奮闘しています。
監督官の業務は、定期的に会社に立ち入り働く方の法定労働条件の履行確保を行う監督指導業務や重大悪質な事案について司法警察員として捜査を行う司法警察業務、安全衛生業務、労災補償業務など多岐に渡ります。
このnoteでは、パンフレットで伝えることが難しい監督官としての仕事のやりがいや魅力などを私なりにお伝えしたいと思います!
私が監督官を目指したきっかけ
まずは、簡単に自己紹介をさせていただきます。
私が、監督官を目指したきっかけは、父が仕事中に事故に遭ったことです。
それまでは、働く父が仕事に行って無事に帰ってくることが当たり前のことだと思っていました。しかし、父の事故を通じてそんな「当たり前」は、何の前触れもなく突然崩れ去ってしまう現実に気づかされました。このことをキッカケに、働く人が安全に、そして安心して働けるような社会作りに寄与したいという強い思いを持つようになり、労働基準監督官を目指すこととなりました。
そして、私は、2018年に任官し、北海道の労働基準監督署での勤務を経て、現在、東京にある本省で、現場の監督官の業務が円滑に行われるよう、業務に関する各種問い合わせへの対応などを通じてサポートを行うほか、監督官の存在を広く知ってもらうための採用広報業務にも携わっています。
この仕事のやりがいって何だろう
私が、監督官として業務を行ってきた経験を振り返った中で感じた、監督官という仕事のやりがいとは何か。
それは、自分の仕事を通じて会社の労働環境などの改善に携われる貴重な経験ができることではないかと思っています。
私が任官してまもなく訪問した会社で、違法な長時間労働がありました。私はその会社に対して指導を行ったのですが、そこの社長は、「法律違反があると言われても、法律の内容は会社の実態に即していないので指導に従う必要性はない」と、指導に対して難色を示していました。
私は、法律を守るのは当然だと思っていたので、当初は、この社長の言葉に戸惑ってしまいました。しかし、上司にも相談をしながら、社長に働く人の健康と命を守るために労働時間を少しでも削減することの大切さを伝えるとともに、会社の実情に即した是正方法はないか一緒に考え、幾度となく話し合いを行っていきました。
その結果、指導事項はすべて是正され、社長からは「会社のことについて、一緒に親身に考えてくれたおかげで良い会社になれたと思う。ありがとう」という言葉をいただいた時、今までにない達成感を感じると共に監督官としてのやりがいを感じる事ができました。
確かに、法律に則った労務管理などが行われるよう指導をしますので、その会社の置かれた状況によっては、会社の方から厳しいお言葉をいただくこともあります。
しかし、厳しい言葉をもらってそこで諦めてしまうと、働く人の労働環境や会社がより良い方向に変わっていく機会が失われてしまいます。
厳しいお言葉をいただいたとしても、諦めることなく会社の方と真剣に向き合い、会社がより良い方向に変わるよう二人三脚で進んでいくという貴重な経験ができるのは、監督官ならではの仕事の魅力でありやりがいだと思っています。
現役監督官が推す3つの魅力
次に、私が考える監督官という仕事の3つの魅力をお伝えしたいと思います。
①毎日、新しい発見に出会える
監督官は、調査等でさまざまな会社を訪問し、そこで働く方や経営者とお話する事が多々あります。
そのため、会社で働く方々との対話を通じ、今まで知らなかった職業や社会の見方を学ぶ事ができると思います。
また、時には皆さんも知っている有名な製品を作っている会社などに伺うこともあり、担当者から製品ができる過程や苦労話などを聞く機会もあるなど、日々新しい事に出会い、知ることができることは監督官の面白いところだと思います。
②監督署の外での勤務が多い
監督官は、さまざまな会社にお伺いするため公務員の中でも外勤が多い職種だと思います。
私は、どちらかと言うと机に座ってじっと作業するよりも、外に出てアクティブに動く事が小さな頃から好きでしたので、デスクワークだけでなくアクティブに動きたいという方には、監督官の仕事はおすすめだと思います。
また、監督署の管轄内にあるさまざまな場所に行きますので、素晴らしい景色やその地域に住む多くの人とふれあうこともでき、自身が勤務する地域の良さを知ることもできます。
私も北海道時代は、雄大な自然に何度も癒され、リフレッシュして仕事に臨む事ができました。
③地元で働く事ができる
国家公務員というと、日本全国を転々と異動するというイメージはありませんか?
監督官は、採用試験に最終合格後、採用を希望する労働局での面接を経て採用されます。そのため、地元で働きたいという人にはおすすめです。
一方、いろいろな場所で勤務したいという人は、希望によって私のように本省で勤務することや時には海外で勤務することも可能です。
最後になりますが、私が監督官になって意外だなと感じたことは、若手の職員が多くいることでした。
任官する前までは、監督官は監督指導を行うためお堅い職業というイメージもあり若手の職員は少ないのではないかなと思っていました。
しかし、実際に働いてみると意外と若手の監督官が多くいて活躍しており、仕事のことで悩んでいるときに気軽に相談することもできるなど職場の風通しもよく、とても働きやすい職場だと感じました。
また、女性の監督官や夫婦で子育てをしながら活躍している監督官も多くおり、ワークライフバランスの実現が出来るような環境が整っていることも実感しました。
労働基準監督官として一緒に働きませんか?
監督官の仕事の魅力はたくさんありますが、私なりの視点で述べてみました。
あなたも「監督官」になって、ご自身のやりがいや魅力を探してみませんか?労働基準監督官は、毎年行われる採用試験の最終合格者の中から採用されます。来年度の採用試験の申し込みは、3月1日(水)から3月20日(月)までとなります。
こちらのページに、労働基準監督官の情報や採用試験概要等を掲載していますのでぜひご覧ください。そして、採用パンフレットでは、労働基準監督官の行う業務について写真などを用いて分かりやすく紹介しているので、こちらもぜひご覧ください!
また、監督官のPR動画も公開中ですので、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=uNGsL2xZ_Xs
これを読んでいただいた皆さんと、労働基準監督官として緒に働ける日を楽しみにしています。