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2025年4月から「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が始まります
厚生労働省 職業安定局雇用保険課の清水と申します。
この記事では、もうすぐお子さんが生まれる方や育児中の方に「給付金(出生後休業支援、育児時短就業)」のイメージを持っていただけるよう、各給付金のポイントについてお届けできたらと思います。
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この給付金がつくられた経緯
「共働き・共育て」は、令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」の柱の一つであり、政府を挙げての取り組みです。令和6年6月の法改正で、こども・子育て支援のため新たに「子ども・子育て支援納付金」が設けられ、これを財源に、育児関係の雇用保険給付が拡充されることとなりました。
「共働き・共育て」を応援するため、今年の4月から、雇用保険制度に新しく「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の二つの給付金が加わります。
「出生後休業支援給付金」とは
出生後休業支援給付金の目的は、男性育休の促進です。
母親の出産直後の8週間は、周囲のサポートが特に必要な時期です。
この時期に父親が育児休業(産後パパ育休も含みます)を取った場合、手厚い給付が受けられるようになります。
細かい条件はありますが、父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取った場合、両親それぞれに、既存の育児休業給付金(休業前賃金の67%相当額)に上乗せして、出生後休業支援給付金(休業前賃金の13%相当額)が、最大28日間支給される、というイメージです。
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※詳細は厚生労働省ウェブサイトをご覧ください。
原則として、本人の育休取得だけでなく配偶者の育休取得も必要ですが、例外として「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していれば、本人のみの育休取得で給付金を受け取ることができます。
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この例外により、父親の場合は、子どもが養子でない限り、本人のみの育休取得で給付金を受け取ることができるということになります。
(配偶者(母親)が雇用される労働者であれば「6.配偶者が産後休業中」に該当、雇用される労働者でなければ、「4.配偶者が無業者」または「5.配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない」に該当するため)
それだけでなく、母親の出産直後の8週間に父親が14日以上の育休を取ることにより、母親が産後休業明けに育児休業を取ったときの給付額もアップします。
支給額は、両親いずれも、育児休業給付と出生後休業支援給付金を合わせて休業前賃金の80%相当額となります。これらの給付が非課税であることや、育休中は申し出により社会保険料が免除されることなどを加味すると、手取りベースでは約10割の額となります。
休業前の賃金が目安として月47万円以上だと、上限(※)により、手取り10割とならないこともありますが、多くの方は、手取りがほぼ減りません。
※正確な上限額は毎年変更されます。リンクのパンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」の16ページでご確認ください。
男性が育児休業を取得しない理由として最も多いのは、「収入を減らしたくなかったから」というアンケート調査結果があります。
28日間の期間限定ではありますが、収入が減らないように給付を拡充しているので、父親の方には、ぜひ、この期間内に育休を取っていただきたきたいと思います。
また、この給付金の受給も契機とし、それぞれのご家庭で「共働き・共育て」のあり方について、よく話し合っていただけるとありがたいです。
「育児時短就業給付金」とは
育児休業が終わってからいきなりフルタイムで職場復帰することは、生活のリズムが大きく変わることもあり、とても大変なことだと思います。その一方で、ご本人のキャリア形成、職場復帰へのハードルなどを考えると、希望に応じて、早期に職場復帰を可能とする環境を整えていく必要があると考えています。
このため、育児中の柔軟な働き方として、男女ともに時短勤務を選択しやすくなるように、育児時短就業給付金を創設しました。
これは、2歳未満の子の子育て中の方が、時短就業をした場合に、時短就業時の賃金の10%が支給されるという内容です。
なお、賃金と支給額の合計が時短就業開始時の賃金を超えないように、支給率は調整されます。
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※支給要件はこちら
この給付では、時短後も雇用保険の被保険者である必要がありますが、短縮する時間に条件をつけていません。
必要な方に給付が行き渡るよう、時短就業の範囲にできるだけ制約をかけないようにしました。そのため、フレックスタイム制、変形労働時間制、裁量労働制、シフト制で働く方も、時短就業とみなせれば対象となります。
また、短時間正社員やパートタイム労働者等に転換、転職した場合も対象です。
ただ、この給付金が受けられることで、かえって働くことを抑制し、家事・育児負担が偏ってしまうということは、望ましいものではないことから、給付金の趣旨に沿った活用をお願いしたいと考えています。
給付を受けながら早期に職場復帰することで、育児休業を続けた場合よりも手取りを増やすことも可能です。育児とキャリア形成の両立のためにも、給付金を活用した早期の職場復帰をお考えいただけるとありがたいです。
「共働き・共育て」の後押しをしていきます!
夫の家事・育児時間は1日当たり2時間程度と、妻と比べて圧倒的に短いですし、国際的に見ても、夫の家事・育児時間は、低水準となっています(総務省「社会生活基本調査 」)。これは望ましいものではないと思います。
片方の親に家事・育児の負担が偏ることがなく、男女ともに働きながら育児を担えるように、これら二つの給付金が、各ご家庭における「共働き・共育て」の後押しとなることを願っています。