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夏、霞ヶ関は異動の季節です ~ 広報改革ほぼ1年の振り返り と 子育て官僚の過ごし方 ~

◆執筆者

安里 賀奈子(あさと かなこ)
大臣官房総務課広報室長

霞ヶ関の異動時期

皆さんの所属する組織では、異動時期、いつでしょうか。事業年度開始を4月として、4月が定例異動のところ、年度途中の9月固定等々、組織の特色に併せて様々かと思います。中央官庁は年度区切りの4月の異動もありますが、その年の通常国会を終えた後の夏の異動が大がかりな異動となるのが通例です。

前任の野﨑がnoteを開始すると宣言をして広報室を去った昨年の夏に、私は広報室長に就任したのですが、そこから季節が一巡りし、ほぼ一年(正確には1年に足りていませんが)が経過し、また夏が来まして、このたび、私もまた新しいポストに移ることになりました。

私は広報室長就任前、労働基準局の広報委員として広報委員会に参加しており、野﨑が進めている広報改革に興奮していました。(厚生労働省では各部局に広報委員を配置。広報委員は広報戦略の企画・調整の役割を担い、毎月の広報委員会に参加します。)
入省当時から広報は私の興味関心分野でした。実際、官庁訪問時のエントリーシートには興味対象分野の一つとして「広報活動(行政活動への国民の参加推進・申請主義の補完)」と記載していました。
どんなにいい政策も事業も、そこにあるだけでは意味がない、対象に伝わって初めて意味を持つし、更に本当は伝えただけでも不十分で、取って欲しい行動を引き出すこと、例えば、メッセージを届けて、ともに共働していくようなところにまで持っていくのが真の広報の姿だ!そういう人を巻き込んだ動きを作り出すことをしたい、そんなことを思っていたのを覚えています。
私も広報委員としてできる限りのことを進めていこう、そう思っていたところ、図らずも、広報室長就任となりましたので、あれこれ取り組みたいことがあり、就任以降、張り切って、おもいつくことに片っ端から取り組んでいましたら、あっという間に時が過ぎてしまい、noteに登場するのがすっかり遅くなってしまいました。「顔の見える広報」の旗振り役である広報室長が一度もオウンドメディアに登場することなく立ち去るわけにはいかない、ということで、今回、この間の広報改革の動きを記事化して、投稿することとしました。

ほぼ1年の広報改革報告

さて、先に書いたように、やりたいことがまさに仕事として与えられた私は、あれもこれも、という思いに駆られていたわけですが、同時に、拡大ではなく、地固めを意識しようと就任当初からこころに決めていました。
私はどちらかというと仕事を拡散させること、新しく始めることが得意であり、仕事を新しく増やしてしまう傾向が通常は強いのですが、その生来の性質のままに突き進み、体制作りをおろそかにすると、例え広報力向上に繋がるよい取組がその時点ではできたとしても、バトンタッチ時に、又は持続力はそれほど強くない私が息切れしてしまった時に、何かちょっとした状況変化で、活動がしぼんでしまう危険性が高まると考えました。
野﨑・安里と、ノリがいい2人が続きましたが、ここで一度しっかり地固めをしよう。安里の次以降は、広報改革大好き!という方が広報室長に就任しなくとも、広報室長が多大な情熱を放出しなくても、改革は進み続ける、そういう道を模索しよう。これがこの1年間の私の夢・ロマンでした。

もう少し具体的に言いますと、広報室長の人となり・時々のやる気に左右されることなく、広報担当には必要な知識が共有され、また知恵や経験が蓄積されて組織として強みを増し続ける、そんな仕組みを作り上げることを目標としました。

そうしてほぼ1年が経過し、その目標は達成出来たのか。100%強固な仕組みを作り上げるところまでは至っていないが、土台の骨組みはできた、と考えています。広報改革を持続・発展させていくための必要なツールはほぼ揃えられたと思っており、後は、新しい広報室長のもとで、また新たなアレンジを加えながら、PDCAサイクルを回していければ、確実に更に良い方向に広がっていくものになった、と自負しています。

具体的な取組をご紹介しますと、
広報室による各局支援の強化として、
・広報の手引き(厚労省広報業務を集約したガイドブック。前任者から引き継ぎ更新を加える)
・広報室支援ツール一覧表(広報室が省内各部局に対して行うサポート内容をまとめたもの)の作成・周知
・広報通信(全職員向けメール)の開始
・広報研修の充実・ワンポイントレッスンの開始・地方支分部局の参加
・重点的広報支援制度の見直し(より柔軟な支援を行うとともに、広報室が各局のおおまかな動きを年間で把握し必要に応じて働きかけを行う仕組みへ)
等に取り組みました。
これまで、広報関連の重要事項は広報委員会で伝達してきたのですが、その情報が十分に省内に周知されていないと考え、広報委員会や広報窓口を経由した間接的な発信ではなく、全職員に直接呼びかける取組をスタートさせたものです。特に、広報通信は、月例で開いている広報委員会の開催を待たずに、今、伝えた方がいい、というタイミングで発信できるので、現場職員の支援策の一つの柱と考えています。広報知識の省内への浸透を早めるべく、職員が参加しやすいよう短時間の研修も開始し、また地方の職員の参加も可能としました。

厚生労働省としての発信力強化としては、
・広報改革加速化プロジェクト=カケル・プロジェクト=の運営・強化
・大臣会見概要のTwitter開始
・個別広告事案の支援強化
・厚生労働省ウェブサイト・トップページの構造見直し
・ウェブメディア含めたメディアへの働きかけの強化
を図るとともに、限られた人員であっても、より一層の各局支援・厚労省としての発信力強化が可能となるよう、広報室の運営体制の見直しにも着手しました。

内部向けの取組が多く、皆さんの目に見える形として表れてきたものは少なかったかと思いますが、例えばnoteについて、省内に働きかけて記事作成を図り、その記事に3桁のイイネが付くなどしまして、そのことを広報通信として省内に周知したところ、省内の認知度が上がり、投稿相談が数多く寄せられるようになっています。今後更に、読み応えのある記事がより多く増えていくと思っていますので、ご期待ください。
こうした地道な足腰強化策が実を結び、「厚生労働行政の情報が、必要な人に確実に届く」、「あれ?これってどんな仕組み?と思った方がネットで検索したら、すぐに必要な情報にたどり着く」、そんな状況に到達できるのも、そう遠い未来ではないと思っています。

子育て広報室長

さて最後に、おまけのネタです。広報室長業務の柱の一つは、週に2回の大臣の閣議後記者会見対応であり、会見は早朝に開催されるのが通例。週に2回、ほぼ確実に早朝出勤が必要となります。また、何らかの事案が発生した際には、その発表に係る調整等で夜中や休日の対応が余儀なくされる可能性もあります。
私は中2、小5、小2の3人の子育て中であり、子育て中の女性が広報室長に就任するのは厚生労働省として初めてだったこともあって、育児と仕事の両立について質問されることがよくありました。
その際には、こまかいやりくりの手法とともに、おすすめの心構えとして、2つのことをお伝えしています。一つは、自分が何をやりたいかを見極めること。もう一つは、時間軸を持った考え方をすること

一番下の子と

どういう異動希望を出すか、どんな働き方をするかを迷ったら、母親だから、子どもが小さいから、その仕事は好きだ/嫌いだ/苦手だ/得意だ、その他諸々様々な要素がある中で、自分はどうしたいのか、仕事もプライベートも含めて今は何をやりたいのか、を考えます。やりたいことが見えれば必ず叶う、とお伝えしたいわけではありません。まずは自分が最も求めている要素が何かを明確化しておいて、それから周りとの調整に入ることをおすすめしたいのです。仮に当初の思いとは違うところに着地することになっても、欲しいものを一度はっきりさせておくのと、もやもやのまま誰かに譲って物事を進めてしまうのとでは、心理的な風景のスッキリ度が格段に違います。子育てと仕事の両立に限らず、なんだか最近モヤモヤしている方は是非お試し下さい。

もう一つのおすすめ「時間軸を持った考え方をすること」は、変えられない壁と感じている状況も、時が経てば変わりうること、しかも自分自身が壁を壊す側に回ることだってできるかもしれないということを思い出し、やりたいことがあるときの自分を後押しする・勇気づけるツールです。もちろん楽観視できるほど短期間で変わると想定できるものばかりではないでしょうから、時間軸を思い出したってやっぱり無理だよ~という気持ちは変わらないこともあるかもしれません。でも、自分の思考の中の「思い込み」をあぶり出すことにつながりますし、また自分の行動によって状況が変わるかもしれない、と考えることは楽しく愉快でもありますので、おすすめです。
ちなみにこの話は、やりたいことがあるけども厚生労働省はハードワークだと聞くし、どうしようと迷っている学生さんに必ずお伝えしています。厚労省の中には現状を変えたいという思いを持つ人がいる、あなたが入省したらあなただって状況を変えられる側に回ることもできるのだから、無理だと思って諦める前に一緒にトライしてみない?とお話ししています。

実際、今、厚生労働省には、事務次官がチーム長となった厚生労働省改革実行チームがあり、定期的に、大臣・副大臣・大臣政務官にも参加いただいてチーム会合を開いています。業務改革推進室も設置され、改革は着実に進んでいます。ちなみに、広報改革も厚生労働省の組織改革の一つとして位置付けられています。
私が入省した当時と比べると、話題の国会対応についても、早出遅出で負担軽減の工夫をする等大きく改善が図られました。テレワークも当たり前のこととなり、仕事と生活のバランスを取る工夫が様々になされています。もちろんまだ十分ではありませんが、今後もこうした取組は必ず続けていきます。ですので、もし厚生労働行政に興味関心はあるのだけれど働く環境がネックという方がいらっしゃいましたら、是非、まずはドアをノックして、中に入ってみていただけたらと思っています。

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noteでは引き続き、厚生労働省職員が、その職務にかける思いなどを語っていく予定です。noteが厚生労働行政を理解する助けとなりましたら幸いです。
 
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