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ひきこもりや社会とのつながりについて悩みを抱える方に国ができること

厚生労働省の職員たちが自身の担当する分野の実践の場にお邪魔し、
そこで学び、感じたことなどを紹介します。

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ひきこもり支援の現場でさまざまなお話を伺う

ひきこもり状態にある方やそのご家族への支援として、相談支援や当事者会・家族会の開催、居場所づくりなどを実施する「ひきこもり支援推進事業」の取り組みが各地で広がっています。令和3年11月、支援現場の実情を伺うため、高知県庁と高知県安芸市、徳島県三好市を訪問しました。

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高知県では、ひきこもり支援に特化した相談窓口を持つ「高知県ひきこもり地域支援センター」が中心となって支援体制の整備を進めていました。センターの職員が、依頼のあった市町村に赴いて事例検討に参画することに加え、県内の福祉保健所圏域ごとにひきこもり支援従事者向けの研修を主催するなど、市町村の取り組みを積極的に後押しされていました。
また、同県ではひきこもり状態の経験者が当事者やご家族の相談に応じる「高知県ひきこもりピアサポートセンター」も運営。お会いしたピアサポーターの方は、「同じ経験があるからこそできることがある。過去の経験が誰かの役に立つことで、昔の自分を受け容れることができる」とおっしゃっていました。
農福連携の就労支援に力を入れている安芸市では、ひきこもり状態を経験された方が働く農家を訪問しました。農家の方や同市職員の方、JA高知の就農サポーターの方には、共通して地域全体を温かく包み込む家族のような雰囲気があり、このような取り組みや土壌をほかの自治体にも広げていくためには何ができるのか、非常に考えさせられました。
三好市の訪問先は、当事者の居場所と就労体験の場を兼ねた施設「居場所『すりーぴぃ』/アンテナショップ よらん de やまき』」。運営するNPO法人の理事長は自らの不登校の経験から、同じような境遇の方を支えることができるようこの活動に取り組まれていて、その熱意に促されるように、この場所はさまざまな方が自然と集まる場となっていました。地域の学校や病院、福祉施設などを巻き込み、地域に開かれた世代交流の拠点を新たにつくりたいという熱い思いを伺い、同市地域福祉課でも、そのような民間の取り組みを後押しするため、財源の確保に尽力していることを拝聴しました。官民の距離感が近く、一丸となって地域のことを考えている様子が印象的でした。

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ひきこもり支援 シンポジウムを実施

訪問先で伺ったような当事者やご家族、支援者たちの思いを社会に向けても届けたいという思いで、今年1月16日(日)に、厚生労働省主催のオンラインシンポジウム「ひきこもりVOICE STATION」を実施しました。
ひきこもり状態だった経験を持つ芸人の山田ルイ53世さんをはじめ、当事者やご家族などさまざまな立場の方のお話を伺いました。「当事者の声を聞くことができて良かった」「家族がひきこもり状態になり悩んでいたが、自分は一人じゃないと思い気持ちが軽くなった」などの声が寄せられ、今回のイベントが当事者やご家族にとって響くものがあったことを実感しました。一方で、当事者の声がなかなか世の中に届いていないことや、自治体の支援情報が届かず、孤立感を抱えている当事者やご家族が多くいらっしゃることを改めて認識しました。

チラシ

厚生労働省でできることを考える

支援の現場では、生きることに苦しんでいる方々やその側で言葉にできない思いを抱えている方々、支援の道をライフワークと定め懸命に向き合っている方々など、さまざまな方の思いを伺います。社会とのつながりに悩む事情も、過去のつらい体験や障害、世間との違和など、一人ひとり全く異なることを実感します。
それらを自分の一部としながら、人がそれぞれの人生を大切にして生きるために厚生労働省で何ができるのか、これからも考えていきたいと思います。

出典:広報誌『厚生労働』2022年4月号
発行・発売:(株)日本医療企画
編集協力:厚生労働省

※その他の広報誌『厚生労働』の記事は一部こちらからも閲覧が可能です。


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