企業における「副業・兼業」の取り組み事例を公表しました!
こんにちは。労働基準局 労働条件政策課の本安と申します。
今回は、副業・兼業について、皆さまにお知らせしたいことがございます。
厚生労働省では、企業も働く方も安心して副業・兼業を実施できるような環境づくりに努めています。その一環として、2022年8月から10月にかけて、副業・兼業に取り組む企業11社にご協力いただき、副業・兼業の解禁の背景や社内制度の概要などについてお話を伺いました。そして今回、その結果をまとめ、「副業・兼業に取り組む企業の事例について」として公表しました。
この事例集には、先進的な取り組み事例に加え、「非雇用に限り副業を解禁している事例」や「副業・兼業を許可制としている事例」なども掲載しており、副業・兼業を段階的に解禁したいと考えている方、副業・兼業の解禁に不安を持っている方、副業・兼業のことがよく分からないという方にも、ぜひご覧いただきたい内容となっています。
副業・兼業の解禁を検討している/これから検討を開始する企業の皆さまに、社内ルールを作る上で参考にしていただくなど、この事例集が、解禁に当たっての一助となれば幸いです。
副業・兼業が注目される背景と厚労省の取り組み
そもそも、今、なぜここまで副業・兼業が注目されているのでしょうか?
日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えており、今後、さらに健康寿命が伸びることも期待されています。そして、ある海外の研究によると 、2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳より長く生きると推計されており、まさに、「人生100年時代」になりつつあります。
厚労省では「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、働く時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に働く方の自由であることから、原則として、副業・兼業を認める方向で検討するのが適当であると周知してきました。
企業における副業・兼業のスタンス
副業・兼業に対しては企業ごとに様々なスタンスを持っています。事例集には、こうした点もまとめており、
など、副業・兼業を解禁する上での各企業における考え方も紹介しています。
さらに、副業・兼業を解禁すること自体が、「多様な人材から選ばれる企業になる上で重要」と考えている企業もありました。
こうした考え方が制度設計に反映されている部分もあるので、企業の方には、制度の設計や見直しに当たって、自社の考え方に近い企業の事例を参考にしていただければと思います。
課題である労働時間管理について
副業・兼業が普及することで長時間労働になり、働く方の健康が害されることは避けなければなりません。
この事例集では、お話をお伺いした企業のすべてが、社員が希望する副業・兼業の内容をあらかじめ確認し、自社での労務提供や社員の健康に支障がないことを確認していました。
企業が長時間労働を防止するためには、事前の確認に加え、副業・兼業先での労働時間を働く方から自己申告してもらった上で、自社の労働時間と通算することで、適切な労務管理を行うことが大切です。
また、働く側も自身の健康を害することがないよう、マルチジョブ健康管理ツールを利用するなどして副業・兼業先での労働時間などを管理し、勤務先の企業に報告するようにしてください。
今回の事例集では、企業における労務管理上の工夫を紹介しています。
併せて、
①労働時間通算の原則的な方法
②簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)
についてそれぞれポイントを解説した資料も作成しました。
副業・兼業時の労働時間通算の考え方や管理モデルの導入について、課題と感じている方はぜひこちらもご覧ください。
これからも、厚生労働省では、適切な労務管理によって長時間労働を防止しながら、企業も働く方も安心して副業・兼業ができるよう、環境整備のための取り組みを続けてまいります。