厚生労働省
厚生労働省「広報改革」を解説します。
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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厚生労働省「広報改革」を解説します。

厚生労働省

こんにちは。
厚生労働省 分かりやすい広報指導室の越水と申します。二回目の投稿となる今回のテーマは、「広報改革」です。

前回の記事で、厚労省は、省をアップデートするための改革の一つとして、「広報改革」を始めていることをお伝えしましたが、

「厚生労働省は、どんな広報改革をしているの?」

という声が複数寄せられたため、広報委員会(※)、広報室、分かりやすい広報指導室、有志職員たちが中心となって進めている広報改革について、解説させていただきます。

※広報委員会:
広報戦略の企画・調整などを担う各部局の職員で構成


まずはその前に、私が所属する「分かりやすい広報指導室」(通称:か室)がどんなところなのかについて、簡単にご紹介します。

分か室とは、民間出身者・出向者で構成されている、広報やメディア、デザイン分野で知見を持つ人たちが集まっている部署です。
PR会社、事業会社の広報部、出版社、元アナウンサー、イラストレーターなど多種多様なバックグラウンドを持つ職員が、それぞれの持ち味を発揮しながら省内の広報活動を支援しています。

私は、そのうちの一人として2018年3月に入省し、現在、いろいろな部署から依頼されるメディアの方向けの資料(プレスリリース)、一般の方向けのチラシやリーフレット、SNS、メールマガジンなどの原稿チェックや厚労省職員向けの広報研修を行いながら、広報改革を推進しています。

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それでは、本題の「広報改革」について。
9月の中旬に、野﨑前広報室長から安里新広報室長に改革のバトンが引き継がれ、新たな体制でのスタートとなりましたが、ここでは、「なぜ、厚労省が広報改革に乗り出したのか?」「軸となる方針」、「具体的な取り組み(①~③)」などについてお伝えしていきます。

専門的な内容が一部含まれたものとなりますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。


なぜ、厚労省が広報改革に乗り出したのか?

厚労省は、「ゆりかごから墓場まで」という言葉に象徴されるように、国民一人ひとりの人生に寄り添う行政機関です。
そして、内政のかなめとして、少子高齢化・人口減少など、もの凄いスピードで進行している社会の変化に対応し、国民の暮らしにおける安定的な基盤を構築するという使命があります。

その使命をまっとうするには、国民生活に密着した政策情報を分かりやすい内容にして一人でも多くの方にお届けし、行動に移していただくための広報が必要不可欠です。

この広報活動を効果的なものとするために絶対に外すことのできない大事な要素が一つあります。


それは、国民との「信頼関係」です。


厚労省はこれまで、分かりやすい情報を皆さまにお届けする努力をずっとしてきており、今も継続して取り組んでいます。
ただ、「分かりやすい情報発信をする」ということは、とても重要ではあるものの、これまでの厚労省は、「厚生労働省」という無機質な記号を主体とした情報発信に偏ってきたため、政策の狙いや思いが伝わらないことも多々あり、その結果、情報の浸透度合いが浅くなる傾向が見られてきました。(私たちが考える意図とは違う捉え方をされてしまうことも・・・)

一方、民間では、企業としての信頼性を高めるため、○○会社としての発信だけでなく、社員がメディアに登場し、商品やサービスはもちろん組織が推進する取り組みや企業文化、採用活動などに関する情報発信が日常的に行われています。

私たちは、この要素が圧倒的に足りていませんでした。


顔の見えない相手から何か言われたとしても、人はおいそれとは信用しないものです。
厚労省の広報には、「職員は顔を出さず黒子に徹するもの」という暗黙のルールのようなものがあり、職員の顔や姿が見えない、いわば「顔を見せない広報」が長年にわたり行われてきました。

そのため、職員がメディアに登場するのはほぼ不祥事が起こった時のみとなり、報道やSNSで拡散されるネガティブな情報が際立つことで、厚労省に対するイメージが悪化。厚労省に関するポジティブな情報発信がほとんど見られないこともあって、負のイメージがそのまま世間に定着し、「職員のモチベーション」や「採用活動」などについて、深刻な影響を及ぼしているように思います。

私が着任して間もない頃、「外では、厚労省職員であることをできるだけ隠している」という深刻な話を省内で聞き「それほどか・・・」と、ショックを受けたことがありましたが、職員と国民との間に横たわる心理的な隔たりは、いまだにあると感じています。


この危機的状況を打開するため、広報室で改革の中身について何度も議論し、見えてきたものが、改革に必要な広報軸と3つのアプローチでした。


軸となる方針・・・「職員の『顔が見える広報』」とは

組織としての信頼を国民から得るためには、「厚労省」という無機質かつ抽象的な何かではなく、政策を担当している職員自らがメディアに登場し、どういう思いで政策を立案・実行しているのかという、政策の裏に隠れがちな職員の熱意や思いを分かりやすく言語化し、一人の人間として繰り返し伝えていく努力こそが、なにより大事です。

その積み重ねが、厚労省をもっともっと知ってもらい、ご理解いただけることに繋がり、最終的に「なんだかんだいっても、厚労省は信頼できるな」と感じてもらえるようになるのだと思います。

テレビや新聞、ウェブニュースなどのマスメディアによる報道が「機能的価値」を伝えることだとしたら、職員による発信は、「情緒的価値」を兼ね備えた機能的価値の訴求と言っていいのかもしれません。

先述のとおり、民間では組織の信頼性を高めるため、社員の顔が見える広報活動が広く普及していますが、厚労省でも、この「顔が見える広報」を始めることで、ここで働く職員たちの思いを皆さまにお届けし、まずは厚労省を身近なものとして感じてもらえればと思っています。


具体的な取り組み①・・・ 政策に関する広報

厚労省が進めている改革の柱の一つに「政策広報」の強化があります。
政策広報は、政策をより多くの方に知ってもらうための取り組みのことで、民間企業でいえば、「商品やサービスに関する広報」に相当します。

分か室を含む広報室は、広報の専門部署として「政策広報」の強化をリードする役目を担っていますが、室員は現在21人(うち常勤14人)と、約3,900人の職員がいる本省全体の広報を支援する体制としては正直なところ脆弱です。
そのため、数ある広報事業の中でも、特に必要性・緊急性が高いと思われる事業を「重点広報案件」と位置付け、その事業の担当者と連携を取りながら、広報室の持つノウハウや広報ツールを提供する仕組みを作りました。

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また、厚労省では、政策に関する国民向けのチラシやリーフレットを、職員がパワーポイントで自作していることがよく見られます。(これは、外注が当たり前と思っていた私には衝撃でした・・・。)

このことは、デザインや見せ方のプロではない職員たちにとって大きな負担となっており、何より「国民にとって分かりやすいものになっているのか?」という課題にも直結してきます。そのため広報室では、制作物の外注がスムーズにできる仕組み作りや、デザインのプロによるサポートを日常的に受けられる体制の強化を進めているほか、表現の幅を広げるため、昨年度から2名のイラストレーターにオリジナルのイラストを作成していただいています。
(チラシやリーフレットをパワーポイントで制作することが得意な方を、今後、どこかのタイミングで募集する予定です。そのご案内は、厚労省Twitterなどを通じてするので、ご関心のある方はぜひご検討ください!)


具体的な取り組み②・・・ 厚労省そのものに関する広報

2つ目の柱は、「厚労省そのものに関する広報」の推進です。これは、民間企業でいう「企業PR」に相当するものです。先ほどお話しした「顔が見える広報」を軸に、広報誌 月刊「厚生労働」の誌面内容をリニューアルしました。
そして、若手・中堅職員を中心とする政策担当者が個人名と顔写真入りで誌面に登場し、厚労行政に関わる各分野について、自身の思いを込めて分かりやすく解説する新企画を昨年の4月から始め、これまでに「年金」「介護」「雇用」「自殺」「児童虐待」「ハラスメント」などの特集記事を掲載しています。

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また、人事課と共同で職員参加型の勉強会を開催し、その模様を広報誌で紹介する企画を複数回実施しました。その内容は、厚労行政に関連する各分野の実践者を講師として招き、国民が直面している厳しい現実について将来を担う若手職員が意見交換を行い、今後の政策立案や取り組みのヒントにするというものです。

この人事課とのコラボという、広報室の垣根を越えたコミュニケーションを図ることで化学反応が起こり、現在、職員の意欲あふれるチャレンジを応援する新発想の広報企画が始まっています。(このお話は、また別の機会にご紹介させていただきます。)

このほか、「みんなにやさしいデザイン」(=ユニバーサルデザイン[UD])の重要性が年々増していることから、若手職員で構成された厚労省改革チームが推進する省のUD化に向けた取り組みの一つとして、厚労省ロゴマークの刷新と、読みやすいフォントの採用を含むパワーポイントの統一フォーマットを今年の4月に省内に共有し、さらなる改善に向けた継続的な取り組みを行っています。

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そして「省内コミュニケーションの活性化」という視点からの広報として、職員同士がお互いを知り、部署をまたがる連携・連帯を強化するきっかけの一つとなるよう、「省内報」の定期刊行化を有志職員が中心となって進めています。


具体的な取り組み③・・・ デジタル広報

3つ目の柱は、インターネットを活用した「デジタル広報」です。
5G時代の入り口に差し掛かり、広報におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)ということも話題に上り始めている昨今ですが、厚労省の広報は、デジタル領域においても立ち遅れているというのが実情です。

そのため、省庁で初めてとなるWebマーケターを、昨年11月に公募で採用し、まずは厚労省サイトのTOPページの整理と導線の見直しに着手しました。現在、より分かりやすい内容・デザインにするための改修を、IT関連部署と連携しながら一歩一歩進めているほか、デジタル広報に精通した外部人材の採用拡大や意欲ある若手職員の登用を検討しています。

また、メディアのニーズを踏まえた確度の高い情報提供や記者とのネットワーク強化を含む「広報DX」の足がかりとするため、プレスリリースの一斉配信や掲載記事のクリッピング、反響分析などをオールインワンで管理できるデジタル広報ツールの導入も進めています。


このnote運用も、デジタル広報を強化するための一つに入ります。


新型コロナウイルス感染症対策においても、デジタル広報の取り組みを進めています。

厚労省が運用しているTwitter(フォロワー数:約94万人)とFacebook(フォロワー数:約30万人)、それにYouTube(登録者数:約9万人)を通じた情報発信を強化していることに加え、LINE公式アカウント(登録者数:約226万人)を新たに開設し、コロナ関連の最新情報をお届けしています。

また、Googleの協力による検索広告(Covid-19政府支援対象無償検索広告プログラム)の運用を省庁として初めて開始。この広告によって、支援が必要な方へ、必要な情報を、適切なタイミングでお届けする可能性が格段に広がりました。

さらに、新型コロナワクチンに関し、科学的な知見に基づく情報を皆さまに提供すべく主要プラットフォーム事業者と連携するなど官民双方の智恵と力を結集し、今も総力戦で臨んでいます。


新型コロナワクチンに関する最新情報は、予防接種室の広報チームが運用する「新型コロナワクチンQ&A」サイトをぜひご覧ください。

■ 新型コロナワクチンQ&A
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/


最後に、皆さまへ

改革は始まったばかりとは言え、早急にやらなくてはならないことは、まだいくらでもあります。
特に、このコロナ禍でも痛感していますが、「広報」という専門性・経験値が強く求められる分野におけるプロパー職員の長期的な育成および有事における役割の明確化は、待ったなしの状況にあると言えます。


非常に限られた「予算」と「人員体制」、また、私の任期も残すところあと8か月となりましたが、考え得るすべての広報強化策(今できること)はすべて俎上そじょうに載せて、厚労省単独でできないものがもしあれば、民間の力をお借りするなど柔軟な思考を持って改革の種まきをしていこうと思います。
そうすれば、その後は仲間の職員たちが改革の芽を育ててくれるはずです。



最後に、

厚労省に来て以来、広報室をはじめとするいろいろな部署の方と仕事をご一緒させていただいた中で感じたことは、厚労省はとても優秀な人たちが集まっているということ。また、入省する前は「冷たい」というか、クールでドライな環境なのかもと少し緊張していましたが、実際にここで見たものは、よりよい社会の実現を目指す「こころざし」を持った職員たちが日々奮闘している姿でした。

そのため、「国民の暮らしを守り、豊かな未来を実現することができるかどうか?」という考え方の軸さえブレなければ、動き始めているこの改革は止まること無く、向かうべき道にまっすぐ進んでいくと信じています。


厚生労働省の広報改革、ご期待ください。


次回は、「広報改革」を加速化するためのプロジェクト「通称:カケル・プロジェクト」についてご紹介する予定です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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